日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
Ι. 概     要  

1  定義
サルコイドーシスは原因不明の多臓器疾患である。若年と中年に好発し、両側肺門リンパ節、肺、皮膚の罹患頻度が高いが、肝、脾、リンパ節、唾液腺、心臓、神経系、筋肉、骨やその他の臓器が罹患することもある。診断は臨床像及び胸部X線所見に加えて、罹患部位から採取した組織標本に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が存在すれば確実となる。既知の原因による肉芽腫と局在性サルコイド反応は除外する。免疫学的には、しばしば、皮膚の遅延型過敏反応の抑制と、病変部位におけるCD4陽性T細胞/ CD8陽性T細胞比の増加がみられる。B細胞活性化を示唆する所見もときに認められ、 その1つとして血中免疫複合体を認めることもある。その他の検査所見として,血清アンギオテンシン変換酵素(S-ACE)活性の上昇、Gaの取込みの増加,Ca代謝の異常 ,蛍光血管造影所見の異常がある。Kveim-Silzbachテストは良質な検査液が使用できれば診断の一助となりうる。経過と予後は一般に発病様式と病変の拡がりに関与する 。結節性紅斑を伴う急性発症例や無症状の両側肺門リンパ節腫脹の例は,通常は自然経過で消退することが多いが,潜行性発病例,特に多臓器に肺外病変のある例は,慢性に進行することが多く,肺やその他の臓器の線維化に進展することもある。副腎皮質ホルモン剤は症状を改善させ,肉芽腫形成を抑制し,S-ACE値とGaの取込みを正常化する。


2  疫学  
発生率には地域差があり,北に多く南に少ない。我が国の有病率は10万対1.7〜0.3 で平均0.7である。

3  病因
 

原因は不明である。抗酸菌,α溶連菌,Propionibacterium acnesなどが原因として提唱されているが,いずれも確証は得られていない。

4  症状  
本症発見時約1/3は無症状である。霧視・羞明・飛紋・視力低下などの眼症状で発見される場合が最も多く,次いで皮疹,咳,全身倦怠が多い。その他,発熱,結節紅斑、関節痛などがある。

5  診断  
サルコイドーシスの診断基準による。眼サルコイドーシス及び心サルコイドーシスについては各々診断の手引きがある。 (後述)

6  治療  
原因が不明のため,肉芽腫抑制効果が認められるコルチコステロイド(以下ステロイド)も,その使用にあたっては賛否両論があることから,最小限にとどめるのが原則である。肺門及び縦隔リンパ節病変のみの症例はステロイド治療の対象とはならない。前眼部病変には,ステロイドの点眼・結膜下注射のほか,散瞳剤を併用する。ぶどう膜炎が激しく網膜・硝子体・視神経に著明な病変があり,局所療法に抵抗して改 善のみられない場合は,ステロイドの全身投与を併用する。心病変、中枢神経病変、 進行性難治症例及び自覚症状の強い症例にはステロイド投与が必要である。

7  予後
 

本症の70%の症例は発病2年以内に自然寛解するが,残りの症例は長期間病変が残存し5〜10%の症例は,進行性の難治症例となる。